The Cheseraseraってバンドの話、してもいいですか？
まあ、ダメですって言われてもしちゃうんですけどね。誰かに求められたわけでもないのに一方的に好きなことを語ることができちゃうのがブログの素晴らしいところで、たとえば飲み会の席においてそんなことをしようものなら、テーブルからひとり、またひとりと人がいなくなっていく。まさかの王道のミステリ展開。そして残るのは主人公である僕と読者であるあなただけ。読後感が最悪だ。
ちなみに飲み会とかでも、運が良いと話を聞いてもらえた上で優しく頷いて「へー」と言ってもらえることもある。人の優しさと残酷さに同時に触れることができる。奥深い……。
なんの話だっけ。
ああ、そうだ。
The Cheserasera。ケセラセラ。なんだかバンドっぽくないフレーズではあるけど、バンド名でぽいとかぽくないとかはあてにならないことはマカロニえんぴつが死ぬほどおしえてくれたのでいったん置いとく。通称ケセラ。スリーピースのめちゃめちゃかっこいいロックバンドです。
とりあえず紹介がてらすごく大好きな曲を。
「東京タワー」って曲なんですけど、どうですか。めちゃくちゃかっこつけて歩きたくなりません？ちなみに僕は夜の渋谷を一人で歩いてるときにこの曲が流れてかっこつけてたら怖いお兄さんに絡まれてダッシュで逃げることになって、走りながら聴いても良い曲だなって発見がありました。夜のランニング中にもオススメな1曲となっております。ぜひ。
そんなケセラ、先月2年ぶりとなるフルアルバムをリリースしまして、なんとこれがフルアルバムだけでも4枚目。10年くらい活動してるけっこうキャリアの長いバンド。シングルやミニアルバムを含めるとけっこうコンスタントにリリースを重ねていて、作品ごとのクオリティも、いつ人気が爆発してもおかしくないくらい高い。
今作「幻」も本当に良いアルバムだからみんなに聴いてほしい。
アルバムのはじまりを飾るのがこの「ワンモアタイム」。歌い出しの引き込む力が強すぎる。ダイソンもびっくりの吸引力。疾走感のある演奏に引き込まれたままあっという間に曲が目の前を通り過ぎるかのようにおわってしまう。なにこれ、F-1？
つづいてアルバムタイトルにもなってる「幻」という曲なんですけど、さっきと打ってかわって、優しく寄り添ってくれるような曲。そして大人の色気、あふれすぎ。抱かれたい。
そしてこれがアルバムの中で僕がいちばん好きな「たわけ」って曲です。もうね、歌詞もメロディも演奏も、個人的に好みド真ん中ドストライクでめちゃくちゃ好き。感情むき出しに歌う宍戸翼さん、ぐっとくる。あ、ボーカルの名前、宍戸翼(ししどつばさ)っていうんですよ。完全に主人公の名前じゃないですか？この顔でこの名前でこんなかっけぇバンドやってるの、誰かの創作だとしか思えないんですけど。もう、今までの苦労を蹴散らすかのように爆発的に売れてしまえよ。
ケセラの何が好きって言われると難しいんですけど、あえて言葉にするなら「よく染み込む」んですよ。音と声が。
なんか心が疲れてるときに、すごくかっこいいと思ってたバンドの曲を聴いてもなんか音がすっと入ってこないなぁってときありませんか。メロディが綺麗なのに、今日はぜんぜん心に響いてこないなぁとか。僕はけっこうあって、そういうときはそのときの気分に合わせて少し鬱っぽい音楽だったりマイナーコードがふんだんに盛り込まれた悲しげな曲とか流してみたりするんですけど、なかなかそのときの気分にベストマッチの"正解"が見つけられなかったりして。
ケセラの音楽は、そんなとき、けっこう"正解"だったりするんですよ。落ち込むにもいろんな種類があるけど、あらゆる渇き具合に対応してくれて、「よく染み込む」んです。じわりじわりと。さっきも言ったように、そういう特性って、ロックロックしたかっこいいバンドっていうより、もっと鬱っぽい音楽やってる陰気なバンドの専売特許なのかなって勝手に思ってたんだけど、ケセラはちがう。
バチバチにかっこいいロックやってるのに、心の渇きにも音が浸透していって、みるみる潤う。え、もしかして極潤？ケセラ、3種のヒアルロン酸配合されてるの？僕はいったい何を言ってるの？
ちなみに今回のアルバム、曲のバリエーションが本当に豊富で、激しい演奏が印象的な「Random Killer」、なんだか自然と身体が動いてしまう「ずっと浮かれてる」、初期の頃から根強い人気を誇る名曲「愛しておくれ」等、徹頭徹尾、良い音楽に浸ることができる。
乾いた心によく染み込む、かっこいいロックバンドを求めている人がいたら、The Cheserasera、ぜひ聴いてみてください。
それでは。
