いとの音楽ブログ

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ハルカミライとSIX LOUNGEとHump Backが野音をライブハウスに変えた

 

勢いのある若手バンドって、山ほどいると思うんですよ。

でも誰が一番勢いがあるかって話になると、たぶん意見は別れると思いますけど、比較的名前が上がりやすいバンドっていうのは限られていて、今日はその筆頭、3組の若手バンドのお話をさせていただきたいなと。

 

その3組っていうのは、ハルカミライ、SIX LOUNGE、Hump Backのことで。

 

察しの良い邦ロック勢の方はお気づきかもしれませんが、昨日、この3組が日比谷野外音楽堂を舞台にバチバチにやりあってた対バン、「毎晩前夜、毎日当日」にいってきたわけで。

 

これがまあ、ほんとに最高だったんですよ。

 

元々それぞれのライブには何度も足を運んでいたので、すごく楽しみにしてたんですけど、普段ライブハウスが主戦上の彼ら彼女らが、野音という大舞台で、いったいどんなライブを観せてくれるのか。

 

いやもう、語彙力が無くて最高だったとしか言えないのでいちいち拙い記事にするのも失礼な話かもしれないんですけど、この感動を何かに残しておきたいなって気持ちから衝動的に書いてるとこです。

 

 

そもそもその3バンドの話を少ししますと、3組ともかの有名なMy Hair is Badが所属するナインスアポロっていう今をときめく大人気レーベルに属していて(正確にはHump Backは姉妹レーベルのWELL BUCKET RECORDS所属、SIX LOUNGEは前回リリース時にメジャーレーベルに移籍)、今回のライブもナインスアポロの企画になります。

 

そしてこのレーベルに所属するバンド、徹底的に現場主義なんです。本当にライブがめちゃくちゃ良いバンドしかいない。

 

その中でも筆頭の3組、どんどん知名度もライブの動員も伸ばして、この1、2年で若手再注目バンドの一角を担うくらいには成長したまさに"勢いのあるバンド"なんです。リリースのペースも良い。全力で駆け上がろうとしてるのが伝わる。

 

3組とも音作りとしてはとてもシンプルで、余計な音はほとんどない。ギター、ベース、ドラムでほとんどの曲が構成されてます。

曲の構成も、AメロBメロサビの一般的な邦楽歌謡曲らしいものが多い。

 

でも、3組とも、それぞれの個性を持っていて、昨日のライブを振り返りながら彼ら彼女らの魅力を語っていきたいなと。

 

まず、トップバッターで登場したのはSIX LOUNGE。

3組の中では一番若手ですが、二十歳そこそことは思えない色気と風格を併せ持っています。

 

普段からバッチバチのライブをみせるこの3組のトップバッターの1曲目、どんな曲でぶち上げてくるのか期待しつつ唄い出されたのは「10号線」。

正直少し意外でした。どちらかというと聴かせにいく曲で、「そうきたか」って思ったんですけど、聴きおわった頃には完全にSIX LOUNGEの世界にどっぷり。ボーカル&ギター、ヤマグチユウモリの虜。

圧倒的な歌唱力と芯のある歌声に心を鷲掴みにされたところからはじまる「STARSHIP」に自然と上がる拳。

あ、野音を掌握したな、と思った瞬間でした。

 

そこから中盤線、「俺のロックンロール」「LULU」「トラッシュ」さらには新曲の「ピアシング」と怒濤のキラーチューンラッシュ。体が自然と動いてしまうのは激しいだけじゃなくてノリやすいメロディを押さえてるからなのかなと。これぞロックンロール。ロックバンドのライブをしに来たぞっていうのがビンビンに伝わってきました。

 

そして野音が夜に包まれた頃に唄われたのは「くだらない」。このときのヤマグチユウモリはもう、エロかった。その色気はまじでどこからくるの。

 

盛り上げどころと聴かせどころにメリハリをつけた良セトリのライブを、名曲「僕を撃て」で締めくくった彼らの後ろ姿はまるで後の2組に「これを越えれるものなら越えてみろ」と言わんばかりでした。

 

 

続いて登場したのはHump Back。

男らしい無骨なロックンロールを見せたSIX LOUNGEの後ということもあって、一層小柄で華奢に見えてしまうその立ち姿。

曲がはじまると、それも彼女たちの演奏の力強さを際立たせる演出だったのではないかとすら思わされてしまいました。

 

1曲目にゆったりとした曲調の「ゆれる」から入った意外性はSIX LOUNGEと共通するものがあって、そこで完全にHump Backを聴くスイッチが入り、続いて演奏されたのは、ライブオリジナルの導入で感情を没入させてから聴かせる「月まで」。

Hump Backの人気の火付け役となったこの曲にオーディエンスも気持ちの高ぶりを抑えてなんかいられず。

3曲目の「嫌になる」ではボーカル&ギターの林萌々子の「手拍子大丈夫です。ロックンロールなんで拳一つで十分です」の一言に完全に会場が惚れていた。ちなみにライブの度に言われるので僕はライブの度に惚れてる。かっこよすぎる。

 

他の2組への対抗意識と「負けっぱなしじゃいられない」強い想いを露にして演奏された「拝啓、少年よ」のはっとするような歌詞と歌声。

 

林萌々子の歌声には力強さと可愛らしさが併存していて、絞り出したような熱い気持ちが伝わるMCや豪快な演奏とのギャップに、会場中がもう、釘付けになっていました。

 

野音の舞台への想いを語り演奏した「いつか」にはこちらの感情が殴られたように揺さぶられ、ラストの「星丘公園」が終わると、そのあまりの余韻に放心状態の自分がいました。

 

 

そして満を持してトリに登場したのはハルカミライ。

先の2組とはうって変わって、「君にしか」「カントリーロード」「ファイト!!」「俺達が呼んでいる」と初っぱなからぶち上げていく怒濤のセットリスト。

普段彼らが主戦上とするライブハウスとは違い、客席にダイブしたりはできない野音というステージで、いつものようなライブができないんじゃないかと、正直少し心配してたんですけど、本当に心配いりませんでした。

むしろいつもより広いステージ上をドッグランに解き放たれた大型犬ばりに縦横無尽に走り回るボーカル橋本学が本当に嬉しそうでした。自分のタイミングで座って休憩する様もシベリアンハスキーの佇まい。今日の学さんはほんとに自由だった。

 

「世界を変えられる曲なんてないのかもしれないけど、俺達の曲で、あなたの世界を変えることはできるのかもしれない」って言葉はすごく素敵で、昨日のMCの中でいちばん印象的でした。

 

途中、アストロビスタの唄い出しを座って聴かせる、野音ならではの特別なエモい時間もありましたが、基本的には終始ハルカミライらしい、アツくて勢いのある、拳を上げたくなるようなライブでした。

 

ハルカミライのライブって、初めて生で観るまではここまで激しいイメージはないんですよね。音源だけだとけっこう綺麗な曲も多くて、じっくりと聴きたくなるような印象も強いので。

 

でも、実際観たときの迫力やパフォーマンスにみんなやられてしまう。ほんとにステージ上を目一杯使うので、なんだか彼らとの距離が近くに感じられるんですよね。

 

 

この3組のライブを見て共通して思ったのは、野音、完全にライブハウスになってたなと。

 

もちろん野音ならでは爆音の解放感やスケールの大きさは際立っていましたが、一つのハコを思わせる一体感は、ライブハウスのそれでした。

徹底した現場主義で磨かれたライブパフォーマンスは最大限発揮されていて、大舞台だろうと実に彼ら彼女ららしい、嘘のないまっすぐなライブで、本当に胸が熱くなりました。

 

ハルカミライが年末ころにZepp Tokyoでワンマンをするらしいですが、この3組はこれからきっとそうやってどんどんステージを上げていくと思います。

でも、どんなに大きな舞台だろうと、もっと言えばアリーナだろうが武道館だろうが、間違いなくそこを彼ら彼女らなりのライブハウスにしてしまうのではないでしょうか。

 

その躍進を一ファンとしてこれからも追っていきたいと思います。

 

 

セットリスト

【SIX LOUNGE】

10号線
STARSHIP
ふたりでこのまま
俺のロックンロール
LULU
トラッシュ
ピアシング(新曲)
くだらない
ラストシーン(新曲)
僕を撃て

 

【Hump Back】

ゆれる
月まで
嫌になる
拝啓、少年よ
短編小説
今日が終わってく
ナイトシアター
いつか
星丘公園

 

【ハルカミライ】

君にしか
カントリーロード
ファイト!!
俺達が呼んでいる
春のテーマ
ウルトラマリン
predawn
ラブソング
世界を終わらせて(新曲)
それいけステアーズ
アストロビスタ
QUATTRO YOUTH(新曲)

En.
ファイト!!

 

 

世界を終わらせて

世界を終わらせて

 

 

拝啓、少年よ

拝啓、少年よ

 

 

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